【レポート】昭和30年代の自宅婚を再現「小平ふるさと村 昭和の結婚式」

【レポート】昭和30年代の自宅婚を再現「小平ふるさと村 昭和の結婚式」

2017年12月25日 (9か月前に公開)

昭和30年代の自宅婚を再現「小平ふるさと村 昭和の結婚式」

東京都小平市で文化の日に開催されている「小平ふるさと村 昭和の結婚式」を取材しました。
小平地域での結婚式は、昭和30年代まで自宅で行われることが一般的だったそうです。
しかし、その後、専門の結婚式場で行われるようになると、次第に自宅での結婚式が忘れ去られるようになってしまいました。
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そこで、地域や家によって行われていた文化的な結婚式の様子を再現して後世に伝えようと、小平市の文化振興財団が中心となり、地域の郷土研究会や保存会などの多くの団体が協力して、当時を知る地域の古老の方などから聞き取り調査をして、昭和30年代の自宅で行われていた結婚式を再現することになったそうです。
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毎年、実際にご結婚するカップルを募集して行われる本物の結婚式。今年も小平市在住の一組のカップルが選ばれました。

「小平ふるさと村」の旧家で自宅結婚式を再現

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昭和の結婚式の舞台は、江戸〜明治時代の民家や郵便局などの建築物を移築復元し、古民家園として開村した「小平ふるさと村」。市指定有形文化財に指定されている江戸時代の農家「旧神山家住宅主屋」を新郎家に見立てて昭和の結婚式が執り行われました。
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江戸時代に使用された農機具などが展示された茅葺き屋根の佇まい。

まだ見合い結婚が主流だった昭和30年代

昭和30年代は全国的にも見合い結婚が一般的でした。
縁談がまとまると新郎家側、新婦家側それぞれから夫婦一組ずつの「仲人(なこうど)」が出て、正式な結納の相談を行い、結納金や式の日取りが調整されたのです。
今回の結婚式も当時の仕来りに則って、両家から仲人夫婦を立てて行われました。
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新郎・新婦と両家の親族や仲人らが「小平ふるさと村」まで花嫁行列。沿道の市民からは「おめでとう!」の祝福の声。
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結婚式を見物に来た人たちから祝福の拍手で出迎えられました。

火またぎの儀

花嫁方の一行が花婿の家に到着すると男の子と女の子が煙のいぶし出ている藁束を持って勝手口に立ち、花嫁はその藁束をまたいでから家に入る「火またぎ」の儀式。
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この儀式は、火によってお清めをする意味のほか、狐が花嫁に化けていないか確かめる意味があったとも伝えられています。
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火またぎ儀を終え、仲人のお手引きで婚家に入ります。

司会者と仲人の掛け合いで進められる式

座敷には新郎家と新婦家の親族らが向かい合わせに座り、両家の仲人が上座に、新郎新婦は中程に対面して座ります。
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結婚式の司会役として「相伴当(しょうばんとう)」と呼ばれる雄弁巧者な男性が下座に着きます。
結婚式は相伴当と仲人の掛け合いで進められたそうです。
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相伴当を務めたのは落語家の春風亭正太郎さん。
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式は最初に桜湯と赤飯が出た後、冷酒の盃をまわして親族の「固めの盃」としたそうです。
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盃をまわす順番は花婿側の地域の風習に従って決めたそう。小平地域では下座から上座へまわす「もみ上げ」と呼ばれる方法がとられました。これは下座が毒味をする意味も含まれていたそうです。
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夫婦の契りを交わす三三九度の盃

次に、三段重ね組杯に冷酒を注ぎ、花婿と花嫁が三度ずつ盃を受ける「三三九度の盃」の儀式を行います。冷酒を注ぐ男の子と女の子を「雄蝶雌蝶」と呼び、注ぐ際に燭台のまわりを縁起良く八の字にまわって行ったそうです。
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「三三九度の盃」を交わし終えると、花嫁側の仲人が花婿の両親に「幾久しくよろしくお願い致します」と挨拶をして式が完了。宴席へと移ります。

披露の祝宴は賑やかに

婚礼式が完了すると引き続いて披露宴へ。
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祝宴では、煮しめ、吸い物、焼き魚などの祝膳が振る舞われました。
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新婦は、祝宴では綿帽子を外した姿にチェンジ。
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ギャラリーもどんどん増えていきました。
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小平市文化協会「謡曲 松風会」による「高砂」の披露をいただきました。
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結婚式をお祝いに列席された小平市長からの祝辞。
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「小平市鈴木ばやし保存会」によるお囃子。「鈴木ばやし」は市内の鈴木地区に江戸時代から伝わる郷土芸能で、無形民俗文化財に指定されています。
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土間で、笛・太鼓・鉦のリズムで大神楽というおめでたい獅子舞や、おかめ踊りで盛り上がりました。

祝宴の本膳に手打ちうどん

祝宴では、煮しめ、吸い物、焼き魚などの料理が出るほか、本膳では手打ちうどん。これは「つるつるかめかめ」の縁起をかついでふるまわれたそうです。
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小平周辺地域で収穫した地粉でうどんを打つ習慣があり、武蔵野手打ちうどん保存普及会として受け継がれ、現在「小平糧うどん」としてふるさと村で毎週土日の昼に限定で販売されているそうです。

祝宴の締めは「嫁のお茶」

本来、本膳が終わると花嫁は普段着に着替え夫の家の者になった挨拶を込めて、お客にお茶を注いでまわる「嫁のお茶」で締めて、披露宴はお開きになります。
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今回はお色直しをしないので、花嫁の代わりにスタッフがお茶を配膳しました。
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新郎新婦に記念品として、昭和の結婚式を調査した「小平郷土研究会」から「出雲の縁結びのお米」。主催の小平市文化振興財団からは、ブルーベリー発祥の地にちなんでブルーベリーワインが贈呈されました。
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新郎父と新郎からの挨拶で無事にお開きとなりました。

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列席者一同で記念撮影。
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毎年、この結婚式をサポートしているウエディングプランナーの古橋多恵子さんと、婚礼スタッフの皆さんで新郎新婦を囲んで。

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昭和の結婚式を調査して可能な限りの再現を試みて後世に伝えようと企画された「小平ふるさと村」の結婚式。
小平市だけでなく、全国各地でも同じように地域の生活様式に根差した豊かな婚礼文化があったということを改めて思い起こす機会となりました。

(取材・文・撮影:WECO編集室 高橋康博)

取材協力:
小平ふるさと村
公益財団法人小平市文化振興財団 
小平郷土研究会
謡曲 松風会
小平市鈴木ばやし保存会
武蔵野手打ちうどん保存普及会

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