【wecoインタビュー特集】ayame (3/4)

【wecoインタビュー特集】ayame (3/4)

2014年01月05日 (4年前に公開)

本物のビバリーヒルズウエディングを日本のブライダルシーンに紹介したい。

ドレスショップ、ゲストハウス、プロデュース会社を経験し、現在フリーランスの立場でウエディングプランナーとして活躍するayameさん。アメリカL.A.・ビバリーヒルズで最新ウエディングを見続け、日本のウエディングシーンに提案するスタイルで業界でも注目される人気プランナーです。そんな彼女にフリーウエディングプランナーのこと、欧米スタイルのウエディングの魅力などについてお話をうかがいました。(インタビュアー:weco編集部)

──ayameさんのウエディングといえば、有名人など富裕層カップルの結婚式をメインにお仕事されているイメージがありますが。
フリーになってからは、過去のお客様からのご紹介、ゲストとして出席された方など実際にプロデュースした結婚式を体験している方からのお繋がりで、私の世界観をご理解頂いた上でご依頼頂く事が多いですね。

お客様もプロを雇ったほうがメリットが多いとご理解されている方々で、結果的に企業経営者、アーティスト、芸能関係者などが多かったというだけです。

「ayameさんは、何千万円もする高額な結婚式しかプランニングを受けないのでは」と言われることもありますが、そんなことはありません。100万円予算の結婚式でも私の価値観や世界観をご支持いただければ、しっかりとお手伝いさせて頂きます。

ただプランニング料をサービスすることはありません。それはプランニングの価値をはっきりさせ、料金以上の満足感を提供するという責任の所在を明確にするためです。

当日までは、仕事の結果が目に見えない世界ですから、責任を明確にするとともに、「この人なら私たちの思いを汲み取ってくれる」という積み重ねが信頼に繋がると思っています。

アメリカのコーディネート料は
結婚式費用の約15〜20%

──欧米のプロデュース料の設定とは異なる定額制にしている理由は?
アメリカでは結婚式費用の15〜20%くらいをプランナーのコーディネート料としているのが一般的で、1千万円の規模の結婚式なら200万円です。

海外の事情を知っている方は、私のプロデュース価格を見て安すぎるっていう方もいますが、私は日本の事情も踏まえて定額制にしています。

アメリカではお客様の知らないところで手数料が発生する仕組みが無く、もし手数料が発生する事があればお客様に還元される仕組みなので明瞭会計です。

ですからサービスの対価としてグロスの20%を払うことがアメリカの花嫁は当然と考えています。

しかし日本では紹介手数料やバックマージンが料金に上乗せされている場合も多く、払ったプランナー料とは別のところで儲けていると誤解される可能性もあるので、私は総額が上がっても下がっても変わらない一律料金で承っております。

挙式後に過分なご祝儀を頂戴することもありますが、そういったお金は、新郎新婦との定期的なお食事会やお客様がご紹介くださる新たなカップルの方に還元させていただいております。

──通常のホテルや式場などでプロデュースすることも多いそうですね。
はい、お客様から雇われてプランニングに携わるスタイルですから、基本的にプロデュースができない会場はありません。

出席人数の規模が多い結婚式や、設備的な充実度を希望される場合を考えるとホテルが会場になる場合が多いですね。

新郎新婦の代理人としてホテル側のプランナーやフラワーアーティストと打合せを進め、イメージ通りのウエディングが実現できるよう世界観を共有できるように努めています。

しかし具現化をする際に難しいのはフラワーデザインですね。

なかなか一回で思い描いた作品が共感できないので、洋書やビバリーヒルズのウエディングの写真を使い、その世界観・価値観をビジュアルツールに作成した上で、何度もミーティングを重ねてご説明を続けます。

経験を重ねたフラワーアーティストの方でも、イメージを共有するには大変時間が掛かるものなのです。

ビバリーヒルズに行き、五感で感じないと得られないものがたくさんあるとの経験から、現在は業界経験者限定で現地ビバリーヒルズでウェディングセミナーツアーを毎年開催しています。

【wecoインタビュー特集】ayame (3/4)

考えられる事は全てこだわる

それがビバリーヒルズスタイル

──ayameさんがL.A.・ビバリーヒルズのウエディングにこだわる理由は何ですか?
ヨーロッパとアメリカは文化が異なります。ヨーロッパは大変伝統を重んじるスタイルが多く、アメリカは世界中の人種・文化が融合し、自由と個性を求める結婚式を重要視する国だと思います。

なかでもビバリーヒルズはトレンドが生まれる場所。日本ではニューヨークのウェディングが注目され、私もニューヨークがトレンドの発信地だとずっと思っていましたが、その発信源はL.A.でした。

世界に情報発信し、影響力のある映画界の中心地・ハリウッドや、目の肥えたセレブが集うビバリーヒルズがある場所がL.A.。通年で天候が安定していることもあり、屋外のウエディングパーティも一般的で、そのバリエーションも本当に豊富です。

日常にパーティ文化が根付き、目の肥えた方々が集う場所でのウエディングはオリジナリティに溢れ、どれだけゲストを心から楽しませられるかが最も重要なこと。コピーをする、同じ事を繰り返す、という発想が全く無いのです。

おふたりのパーソナルな部分から世界観が生まれなければ本物のオリジナルとは言えず、考えられる事は全て徹底的にこだわり抜くスタイル、それがビバリーヒルズスタイルなので、L.A.に行く度に、本当に毎回新しい驚きと発見があります。

私はとにかくNo.1の方に学びたかった。現役のプレーヤーとして恥じないよう、常に学び続けることがクリエーターの使命だと思っています。だからこそ現在も定期的にL.A.に渡米しています。

──アメリカのウエディングを実践しようとしても日本では難しい面もあるのでは?
文化の異なるアメリカで学んだものをどうやって日本でアレンジするかが課題です。

花材は何とか手に入ったとしてもそれを活かせる花器が日本に無かったり、お花もアメリカと比べると2〜3倍くらい高いケースが多いですので、アメリカと同じようにお花に囲まれたウエディングをしようとするとプライスの問題があります。

また日本では同じ会場で1日2組の結婚式を行うことが多いですが、アメリカは1日貸し切りなので、時間を掛けて準備ができます。

そういった時間的制限の中をどうクリアしていくかも日本のプロの力の見せ所です。

本物を見ていれば、アレンジにも迷いがなくなる。直接体験し、手に触れた物や事を自信を持ってご提案できるよう、常にリアルにこだわっています。その経験を元に養った、良いものを見極めるフィルターこそがプロの価値であり、こだわりだと思います。

──アメリカと日本のウエディングの分かりやすい違いはなんでしょう?
圧倒的な違いとしては、空間デコレーション(照明・テーブルデコレーション)ですね。

まず照明ですが、日本のウエディングコーディネートは平面的に作り込みますが、アメリカでは空間をデコレートするウエディングです。

装花と天井の高さのバランスや照明の表現など、とにかく空間全体でコーディネートを考えます。照明の色合いひとつでクロスや装花の色も変わってしまいますからとても重要なのです。

日本のウエディングマーケットの中で、照明の打ち合わせという発想がない点で、アメリカンウエディングを再現することはかなり難しい課題です。「音響照明」とひとくくりに扱われ、照明専門のプロというカテゴリーがないウエディング業界の現業が、空間をコーディーネートする上で大きく異なる点です。

日本の照明は、スイッチだけで「オン・オフ」、ピンスポット使用「有・無」という規則正しい感じですが、柔らかい空気が流れる繊細で微妙なグラデーションにまでこだわるのがビバリーヒルズ流です。

アメリカの結婚式は、基本的に夕方から始まるケースが多く、17時から挙式、18時からカクテルパーティ、19時からレセプションパーティが始まります。

夏のカリフォルニアでは21時くらいにならないと暗くならないので、雑誌やテレビなどで昼のウエディングシーンも見かけると思いますが、実は夕方だったりします。

そのような時間的背景もあり、アメリカでのウエディングパーティは照明抜きには語れません。

日本で海外のようなウエディングを表現しようとするなら、必ず空間をコーディネートする発想と、照明設備のプロの技術者、そしてテーブルデコアーが必要でしょう。

照明のことだけをお話してきましたが、テーブルリネンのデコレーションも本当に重要で、テーブルクロスやナフキンのデザインひとつでゲストをドリームの世界に誘える力を持っているのもアメリカのウエディングの特徴です。

アメリカで学ばせてもらっているイベントデザイナーやテーブルデコアーのウエディングには、細部に最高の技術と知識が活かされています。

私もそんな空間を創り出せるウエディングデザイナーになりたいと心から思っています。

──なるほど、確かに日本とは大きな違いです。だからこそツアーは日本では絶対知り得ない貴重な体験になりますね。
アメリカのウエディングは、朝から6〜10時間くらいかけて、何もない空間から創り上げていきます。

現地では完成した綺麗な状態ではなく、朝から出来上がるまでの裏方のプロセスを見るためにも行っており、時には前日のお花の仕込みから見学させてもらうこともあります。それは完成したものを見ただけではわからない世界。それを知るからこそアレンジもできるかと思います。

「ayameは仕事のエリアベースが日本だから許されるが、アメリカの同業者だったら絶対に見ることはできないよ」と、現地のコーディネーターに言われた事があります。こんな貴重な体験ができるからこそ、すごい結婚式があるという情報を聞くと足繁く通っているという訳です(笑)。

毎回違う驚きと発見そして明確なコンセプトがある、それがビバリーヒルズスタイルのトップクラスウエディング。その経験がなければ、当然日本でも良いものをご提案は出来ないでしょう。

結婚式はパーソナルなものですから、カップルが違えば同じパーティにはならないのが当然だと考えるのがアメリカ流。セミナーツアーに参加した日本人プランナーから「こんなに情報や秘訣を公開して、まねされないかと不安になりませんか?」と質問されたようで、その質問自体に驚いたと現地デザイナーは言っていました(笑)。

トップクラスの方はどんな人にも分け隔て無く親切でオープン。人の話を良く聞き、サービス精神も旺盛で、接客姿勢として見習う点ばかりです。だからこそ、私も素直に学ばせてもらいたいと思いました。

【wecoインタビュー特集】ayame (3/4)

結婚式はパーソナルなもの

カップルが違えば同じパーティにはならないのが当然

──人まねをする発想がないというのも、アメリカらしいプロ意識ですね。
はい、いかにその人らしさを空間に表現するかが、プロのスキルです。

アメリカでは、クロスやナプキンをデザイン・デコレーションするテーブルデコアという仕事があり、これも日本とは大きく異なる点です。

私の知るデコアーは「布の魔術師」と呼ばれる専門のアーティストで、ハリウッド映画のパーティシーンや、国賓クラスのパーティも手掛け、彼女の手にかかれば、何の変哲もないテーブルクロスやナフキンがマジックのようにアートに生まれ変わります。日本にはない文化で本当に素晴らしいです。

アメリカはテーブルクロスや備品専門のレンタル会社がデコレーションも一手に引き受け、種類が豊富でデコレーションするアーティストがいます。クライアントの要望するものがなければオーダーで生地から作ることもよくあります。

アメリカではテーブルクロスとナフキンが同じ素材やデザインなのは当然ですが、日本には驚くほど同じ物が少ない。それにコットンや麻のような素材ばかり。アメリカではランチタイムによく使う素材ですね。シルクのナフキン等、光沢のある柔らかい素材が日本のマーケットには用意されていないのが現状です。

日本を訪れたアメリカのデザイナーやコーディネーターはこの現状に大変驚き、「これでどうやってパーティをコーディネートするの?」と絶句。「ayameがスーツケースいっぱいに布を買って帰る理由がよく分かったよ」言っていました(笑)。

日本で海外ウエディングの世界を表現しようとするなら、このクロスやナプキンなどのテーブルデコレーションと照明、そしてペーパーアイテムの3点をまず改善することが今後の課題だろうと思います。

[ 4/4へ続く ]